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〜その1までのお話〜
ちゅり星人は陣痛をナメてかかっていた。
というわけで入院です。
人生初の入院です。
ちゅり星人は体が弱いわりに入院したことは今までなかったんですよね。
(ちなみに骨折したこともない)
結構憧れてた入院。
不謹慎ながらわくわくです。
しかもこの病院は、ちゅり星人が生まれたところでもあるのです。
病院の中に聖堂もあればシスターもいるキリスト教系の病院なのですが、
近辺ではとにかくお産で評判のいいところで、
自分が産むときもここにしようと前から心に決めていました。
しかもここ、おやつがおいしいのよ。
手作りのプリンやゼリーが出るほか、クッキーやジュースなど色々選べて豊富なのです。
祖母がここに入院してたとき、お見舞いに来るたびにおやつをもらって食べていたので、
味をしめているのです。
入院の間はずっとあれが食べられるのか〜などと思っていたら、昼過ぎから陣痛が変化してきた。
痛い……。
まだ我慢はできるレベルだけど、無視できない強さに痛みが変わってきたのです。
もうお腹をこわしたときの痛みではありません。
痛みの質そのものが変化しました。
なにに似た痛みなのか……生理痛でもないし、鈍くも鋭くもないし、外傷の痛みともまた違うし。
お腹の中身がしぼられるような感じというのが一番近いかな。
定期的にギューーーと痛くなるんですよね。
うまく表現できませんが、明らかに今までの人生で体験したことのない種類の痛みでした。
これ明日の夕方頃までずっと続くの?
キツいなあ……。
ちょっと自分の中の雲行きが怪しくなってきたそのとき、助産師さん登場。
「星人さん、スクワットしましょう!」
スクワット!
なんでも、スクワットするとお腹の赤ちゃんが下りてきて、お産を進めるのに効果的なんだとか。
……とはいっても、
「すんごくお腹痛いときにスクワット」
この困難さは男性にも理解してもらえるのでは。
さらに「今のうちに、痛いけれど頑張って病院の中歩いてくださいね」とも言われる。
陣痛があるだけではお産は進まず、子宮口が開いてこないと赤ちゃんは出てこないので、
それを促すために歩くのとかスクワットは効果的なんだそうな。
言われるがままにスクワットもし、病院内も歩いてみると、
効果が出てきたのか痛みはさらに強くなり、夕方ごろには痛みで食欲もなくなるほどに。
「食べないと体力なくなっちゃうから全部食べてくださいね」と言われるも、
痛くて痛くて少ししか食べられない。
会社帰りの運送屋さんがウィダーインを買ってきてくれたけれど、
それを飲む気にもなれず消灯時間になりました。
その頃には痛みのレベルもさらに上がり、
いったん痛みの波が来ると、
それが過ぎるまでじっと耐えてからじゃないと動けないほどになりました。
廊下を歩いているときもトイレに入っているときも、痛くなってきたら動きを止めてひたすら息を吐いて痛みを逃がす。
陣痛とはいっても常に痛い状態が続くわけではなく、
10分間隔なら10分間隔で、5分間隔なら5分間隔で強い痛みの波が襲ってくるのです。
だから痛くない隙を見計らってそろそろと動くのですが、
もうすでに陣痛の間隔も短くなっているので、
痛みの合間にトイレに入っても、トイレの中で次の痛みが襲ってくる状態。
入院した直後は、ほかの妊婦さんがやたら前かがみでそろそろ歩いているのを不思議がっていたものですが、その理由が今となってはよくわかる。
お腹痛いときって、背筋伸ばして歩けない。
歩けないけど歩かなければいけなくて、結果前かがみでそろそろ歩きになってしまう。
もともと妊婦はトイレが近い上に、お産が近づくとさらに自然に排便を済まそうとする体の働きもあるらしくて、
トイレに行く回数も頻回なんですよね。
──しかし、お腹痛い。
明日の夕方までまだ時計が一回転以上あることが信じられないんですけど……。
同室の妊婦さんたちは立会い出産される方が多いみたいで、
ご主人の励ます声なんかがカーテン越しにボソボソ聞こえてきて、
お腹の痛みを一人で耐えてる身としては心細くて、
やっぱり立会い出産にすればよかったかなあと若干後悔。
私、絶対立ち会い出産はしたくないと思ってたんですよね。
出産なんて女の私が見てもショッキングなものだし、壮絶だし(テレビの出産シーンなんかを見た感じでは)
トラウマになるだろうという気がしてたのです。
普段の姿とはかけ離れたすごい形相になるし、すごい声上げるし、血は出るし。
パートナーに自分の苦しんでる姿を見せたくないという気持ちがすごくあって。
あとやっぱ出産は「女の仕事」みたいな感覚があり、全部終わってから
「全然平気だったよ〜」なんてけろっと言ってやりたいなあと変にカッコつけてるところもあったのですが、
さすがにこのときは心細く思いました。
人の体は不思議なもので、
どの体勢が一番楽に痛みを耐えられるか、無意識のうちにわかるんですねえ。
ちゅり星人の場合、うつ伏せ気味で枕を抱えるような格好が一番楽だったので、
ベッドの中では常にその体勢で耐えてました。
しかし、痛みのせいでものすごい汗かく。
それも冷や汗と脂汗が混じったような、ベタベタのいや〜な汗です。
一応体を拭くさらさらシートは持ってきてたので、それで拭いてはいるんだけどあんまり効果なし。
入院着もじっとり、べったり。
温めると陣痛が少し楽になるし、今のうちにお風呂に入ったら?と助産師さんに勧められたので、
夜中だったけど頑張って入浴することに。
正直もう動くのもかなり辛くなっていて、
お風呂に入る工程を思うだけでムリ! って感じだったんですが、
「温めると陣痛が少し楽になる」
この言葉にすがってみました。
が、しかし。
人生でここまで入浴が困難に感じた日はありませんでした。
服を脱ぐのも頭を洗うのも体を洗うのも、陣痛まっただなかには大変困難。
立ちっぱなしでいるのが不可能なので、椅子に座ってうずくまって休み休み、
痛みをこらえては少し洗い、また痛みが来ては中断して……の繰り返し。
おまけにお腹が痛いとき裸になるのってすごく不安に感じるんですよね。
たとえ服一枚でも、守られるものが何もないととても不安になるのです。
さらには、近くの分娩室から、
まさに今出産している人の想像を絶する悲鳴がガンガンリアルタイムで聞こえてくるのですよ。
出産時、絶対無様な声は出すまい、きっと我慢できるはず、なんて心に決めてたちゅり星人、
肝が縮み上がりました。
え、まさか私もいざとなったらあんな声出しちゃうの?((((;゜Д゜)))
そう恐ろしくなるほど、大人の女の人が上げてる声だとはとても思えない苦悶の響き。
あと数時間後にはいやでも私も分娩台の上。
もう引き返すことのできない、降りられないエスカレーターに乗ってしまっているんだということを強く意識。
正直ビビりました。
うわ、これはちょっと逃げ出したい。そんな気持ちになりました。
そろそろと病室に戻り、時計を見ると深夜。
そういや私一睡もしてないじゃないか。
最後に寝たのはおとといの晩。それからずっと起き続けている。
陣痛の合間に少しでも眠って体を休めるように助産師さんに言われるも、
そんな器用なマネできないと思ってましたが、
もう、さすがに、限界……。
あまりにも眠たくなって、
いつの間にか陣痛と陣痛の合間のひと時(といっても数分ですが)に
うとうとするように。
うとうと……痛くて眠りから引き戻される……またうとうと……を何回繰り返したろ。
それまで何とか耐えられてた陣痛が、声をこらえきれないほどに強くなりました。
痛みの波が来るたびにうめくしかなくなる。
声を出すのが「我慢できない」のではなく、「出さずにはいられなく」なるんです。
声を出して発散させないと、痛みを内で完結させられないのかなあ、
とにかくうめき声が出てしまうんです。
これはびっくりした。
痛くて声を上げるなんてかっこ悪い、なんて思ってた昔日の自分よさらばです。
もう陣痛の合間に眠るなんて器用なマネはできなくなり、
しばらく痛みと戦っていましたが、ついに耐えられないと判断して、ナースコールを押しました。
そして駆けつけてきた助産師さんにベッドごと陣痛室へと運ばれるのでした。
その3に続く。
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ちゅり星人は陣痛をナメてかかっていた。
というわけで入院です。
人生初の入院です。
ちゅり星人は体が弱いわりに入院したことは今までなかったんですよね。
(ちなみに骨折したこともない)
結構憧れてた入院。
不謹慎ながらわくわくです。
しかもこの病院は、ちゅり星人が生まれたところでもあるのです。
病院の中に聖堂もあればシスターもいるキリスト教系の病院なのですが、
近辺ではとにかくお産で評判のいいところで、
自分が産むときもここにしようと前から心に決めていました。
しかもここ、おやつがおいしいのよ。
手作りのプリンやゼリーが出るほか、クッキーやジュースなど色々選べて豊富なのです。
祖母がここに入院してたとき、お見舞いに来るたびにおやつをもらって食べていたので、
味をしめているのです。
入院の間はずっとあれが食べられるのか〜などと思っていたら、昼過ぎから陣痛が変化してきた。
痛い……。
まだ我慢はできるレベルだけど、無視できない強さに痛みが変わってきたのです。
もうお腹をこわしたときの痛みではありません。
痛みの質そのものが変化しました。
なにに似た痛みなのか……生理痛でもないし、鈍くも鋭くもないし、外傷の痛みともまた違うし。
お腹の中身がしぼられるような感じというのが一番近いかな。
定期的にギューーーと痛くなるんですよね。
うまく表現できませんが、明らかに今までの人生で体験したことのない種類の痛みでした。
これ明日の夕方頃までずっと続くの?
キツいなあ……。
ちょっと自分の中の雲行きが怪しくなってきたそのとき、助産師さん登場。
「星人さん、スクワットしましょう!」
スクワット!
なんでも、スクワットするとお腹の赤ちゃんが下りてきて、お産を進めるのに効果的なんだとか。
……とはいっても、
「すんごくお腹痛いときにスクワット」
この困難さは男性にも理解してもらえるのでは。
さらに「今のうちに、痛いけれど頑張って病院の中歩いてくださいね」とも言われる。
陣痛があるだけではお産は進まず、子宮口が開いてこないと赤ちゃんは出てこないので、
それを促すために歩くのとかスクワットは効果的なんだそうな。
言われるがままにスクワットもし、病院内も歩いてみると、
効果が出てきたのか痛みはさらに強くなり、夕方ごろには痛みで食欲もなくなるほどに。
「食べないと体力なくなっちゃうから全部食べてくださいね」と言われるも、
痛くて痛くて少ししか食べられない。
会社帰りの運送屋さんがウィダーインを買ってきてくれたけれど、
それを飲む気にもなれず消灯時間になりました。
その頃には痛みのレベルもさらに上がり、
いったん痛みの波が来ると、
それが過ぎるまでじっと耐えてからじゃないと動けないほどになりました。
廊下を歩いているときもトイレに入っているときも、痛くなってきたら動きを止めてひたすら息を吐いて痛みを逃がす。
陣痛とはいっても常に痛い状態が続くわけではなく、
10分間隔なら10分間隔で、5分間隔なら5分間隔で強い痛みの波が襲ってくるのです。
だから痛くない隙を見計らってそろそろと動くのですが、
もうすでに陣痛の間隔も短くなっているので、
痛みの合間にトイレに入っても、トイレの中で次の痛みが襲ってくる状態。
入院した直後は、ほかの妊婦さんがやたら前かがみでそろそろ歩いているのを不思議がっていたものですが、その理由が今となってはよくわかる。
お腹痛いときって、背筋伸ばして歩けない。
歩けないけど歩かなければいけなくて、結果前かがみでそろそろ歩きになってしまう。
もともと妊婦はトイレが近い上に、お産が近づくとさらに自然に排便を済まそうとする体の働きもあるらしくて、
トイレに行く回数も頻回なんですよね。
──しかし、お腹痛い。
明日の夕方までまだ時計が一回転以上あることが信じられないんですけど……。
同室の妊婦さんたちは立会い出産される方が多いみたいで、
ご主人の励ます声なんかがカーテン越しにボソボソ聞こえてきて、
お腹の痛みを一人で耐えてる身としては心細くて、
やっぱり立会い出産にすればよかったかなあと若干後悔。
私、絶対立ち会い出産はしたくないと思ってたんですよね。
出産なんて女の私が見てもショッキングなものだし、壮絶だし(テレビの出産シーンなんかを見た感じでは)
トラウマになるだろうという気がしてたのです。
普段の姿とはかけ離れたすごい形相になるし、すごい声上げるし、血は出るし。
パートナーに自分の苦しんでる姿を見せたくないという気持ちがすごくあって。
あとやっぱ出産は「女の仕事」みたいな感覚があり、全部終わってから
「全然平気だったよ〜」なんてけろっと言ってやりたいなあと変にカッコつけてるところもあったのですが、
さすがにこのときは心細く思いました。
人の体は不思議なもので、
どの体勢が一番楽に痛みを耐えられるか、無意識のうちにわかるんですねえ。
ちゅり星人の場合、うつ伏せ気味で枕を抱えるような格好が一番楽だったので、
ベッドの中では常にその体勢で耐えてました。
しかし、痛みのせいでものすごい汗かく。
それも冷や汗と脂汗が混じったような、ベタベタのいや〜な汗です。
一応体を拭くさらさらシートは持ってきてたので、それで拭いてはいるんだけどあんまり効果なし。
入院着もじっとり、べったり。
温めると陣痛が少し楽になるし、今のうちにお風呂に入ったら?と助産師さんに勧められたので、
夜中だったけど頑張って入浴することに。
正直もう動くのもかなり辛くなっていて、
お風呂に入る工程を思うだけでムリ! って感じだったんですが、
「温めると陣痛が少し楽になる」
この言葉にすがってみました。
が、しかし。
人生でここまで入浴が困難に感じた日はありませんでした。
服を脱ぐのも頭を洗うのも体を洗うのも、陣痛まっただなかには大変困難。
立ちっぱなしでいるのが不可能なので、椅子に座ってうずくまって休み休み、
痛みをこらえては少し洗い、また痛みが来ては中断して……の繰り返し。
おまけにお腹が痛いとき裸になるのってすごく不安に感じるんですよね。
たとえ服一枚でも、守られるものが何もないととても不安になるのです。
さらには、近くの分娩室から、
まさに今出産している人の想像を絶する悲鳴がガンガンリアルタイムで聞こえてくるのですよ。
出産時、絶対無様な声は出すまい、きっと我慢できるはず、なんて心に決めてたちゅり星人、
肝が縮み上がりました。
え、まさか私もいざとなったらあんな声出しちゃうの?((((;゜Д゜)))
そう恐ろしくなるほど、大人の女の人が上げてる声だとはとても思えない苦悶の響き。
あと数時間後にはいやでも私も分娩台の上。
もう引き返すことのできない、降りられないエスカレーターに乗ってしまっているんだということを強く意識。
正直ビビりました。
うわ、これはちょっと逃げ出したい。そんな気持ちになりました。
そろそろと病室に戻り、時計を見ると深夜。
そういや私一睡もしてないじゃないか。
最後に寝たのはおとといの晩。それからずっと起き続けている。
陣痛の合間に少しでも眠って体を休めるように助産師さんに言われるも、
そんな器用なマネできないと思ってましたが、
もう、さすがに、限界……。
あまりにも眠たくなって、
いつの間にか陣痛と陣痛の合間のひと時(といっても数分ですが)に
うとうとするように。
うとうと……痛くて眠りから引き戻される……またうとうと……を何回繰り返したろ。
それまで何とか耐えられてた陣痛が、声をこらえきれないほどに強くなりました。
痛みの波が来るたびにうめくしかなくなる。
声を出すのが「我慢できない」のではなく、「出さずにはいられなく」なるんです。
声を出して発散させないと、痛みを内で完結させられないのかなあ、
とにかくうめき声が出てしまうんです。
これはびっくりした。
痛くて声を上げるなんてかっこ悪い、なんて思ってた昔日の自分よさらばです。
もう陣痛の合間に眠るなんて器用なマネはできなくなり、
しばらく痛みと戦っていましたが、ついに耐えられないと判断して、ナースコールを押しました。
そして駆けつけてきた助産師さんにベッドごと陣痛室へと運ばれるのでした。
その3に続く。
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2008.08.14 | 家庭 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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